2004年12月5日
2009年1月24日 修正
突然の手足のしびれ(脳梗塞)
症状: 突然、手足が動かなくなる
原因: 脳の血管が詰まり発生
対処: 一刻も早く救急車を
顔のしびれとめまい(脳梗塞)
症状: 顔のしびれとめまい
原因: めまいの原因の多くは耳の病気
対処: めまいに手足や顔のしびれを伴うものは危険、脳神経外科の専門医に受診
>> 延髄にできた2ミリ程度の小さな脳梗塞でも原因となり発症
唇と指がしびれる(脳梗塞)
症状: 唇と指がしびれる
原因: 脳に行く動脈が詰まることにより発症
計算ができない(脳梗塞)
症状: 計算ができない、色々なことが認識できなくなったり、物事を考えることができない
原因: 脳の頭頂葉にできた脳梗塞により、脳の機能に障害を受けたため
>> 脳血管障害、脳腫瘍などでも起こる症状
突然起こる頭痛(くも膜下出血の疑い)
症状: 突然、頭に押さえつけられるような痛みを感じる
原因: くも膜下出血の疑い。くも膜下出血の多くは、突然の激しい頭痛で発症し、嘔吐をくり返す。多くは、脳の動脈にできた動脈瘤の破裂による。くも膜下出血により動脈に血液が固まりこびりつき、一週間程度後に脳梗塞になることあり。
一時的にろれつが回らない(一過性脳虚血発作)
症状: 口がしびれ、何を話しているのか聞き取れないほどろれつが回らなくなった、五分ほどで回復。その後も同様の発作
原因: 一時的に脳の血管が詰まることが原因
対処: MRI検査が適切。注意しないと永久に血管が詰まり、言葉を話せなくなる可能性
>> 脳梗塞の症状が一時的なものが一過性脳虚血発作
急に進行した痴呆(ラクナ梗塞)
症状: ラクナ梗塞とは、直径五ミリ程度の小さな脳梗塞のこと。大きな脳梗塞と違い、一つのラクナ梗塞では症状ほとんど無いが、五個以上発生すると痴呆症になる危険性あり。痴呆症は通常、少しずつゆっくり進行。2~3ヶ月で急に痴呆症状が出る時は、脳梗塞が原因の場合よくあり。
原因: 「脳血管性痴呆」と呼ばれており、脳血管が突然詰まるため、症状も急に出る。痴呆の代表、アルツハイマー病がゆっくり進行するのと対照的。脳の中には神経が網目状に複雑に張りめぐらされており、この糸が何本も梗塞で切断されると、脳が情報処理をうまくできなくなり、痴呆症状が出る。
ふらつき(巨大動脈瘤)
症状: 脳の分かれ目にできるわずか5ミリ程度の小さなこぶで、破裂しない限り特に症状無し。破裂すると、くも膜下出血を引き起こす。こぶが巨大(2~3センチ)になり、脳を圧迫し様々な病気を引き起こすことあり。
原因: 圧迫される脳の場所により、言語障害、痴呆症、目の障害、手足のマヒなど
対処: 治療法は、手術で動脈瘤を直接切除するのが最も良い方法
突然昏睡状態に(橋出血(脳卒中))
症状: 脳出血は通常大脳で起こり手足のマヒや言語障害を引き起こすが、大脳以外でも起こる。「橋」という意識の中枢と呼ばれる脳の重要な部分で起こり、傷が付くと意識がなくなる。
原因: 高血圧。
対処: 橋出血でも、小さな出血の場合は、手術して命を救うことが可能。
「ザーザー」と耳鳴り(硬膜動静脈瘻)
症状: 聴診器を耳の後ろに当てると、聴診器からもザーザーという音が聞き取れる。
原因: 動脈と静脈が直接つながってしまために起こる病気。圧力の高い動脈から静脈に流れ込む血液の量が多くなると、けいれん、脳出血、意識障害が生じる。
対処: 脳神経外科での手術の必要
一時的に意識がなくなる(脳・脳以外に原因も)
症状: 一時的に意識がなくなる。手足のマヒや言葉の障害が同時に起こることもあり
原因: 脳に入っていく動脈が狭くなり血圧が下がり、脳の血液が不足して意識を失うことがある。また、てんかん発作やくも膜下出血が原因で意識を失うことや、脳以外の原因、心臓病などで意識を失うこともあり。
変なことを言い、左足を引きずる(多発性脳腫瘍)
症状: 言動が怪しくなり、左手に持った茶碗を落としたり、歩く時に左足を引きずる
原因1: 脳腫瘍ができる場合多くは一つしかできないが、時に複数の腫瘍ができる時があり、これを「多発性脳腫瘍」と呼ぶ。原因として多いのは癌の転移。
対処: 治療法として、ガンマナイフなどでの放射線治療がある。
原因2: 次に、悪性リンパ腫が考えられる。血液中のリンパ球が癌になったもので、脳自体にできる、脳以外の組織で癌ができて脳に転移するケースがある。
対処: 治療可能だが、再発すると放射線が効かなくなる。
目が見えにくい(下垂体腫瘍)
症状: 目が見えにくい。ものがぼやけて見える、両目の外側が見えにくく感じる、駐車場で良く車をぶつける
原因: 大抵の場合は目自体の病気だが、時に脳の異常が原因の場合がある。
対処: CTで検査。脳の中心にある下垂体に腫瘍が発見されるかどうか。下垂体の近くに両目の神経が通っており、腫瘍が神経を圧迫していたために視野が狭くなる。放置すると両目が見えなくなる危険。
物忘れ(アルツハイマー病)
症状: 食事をしたことを忘れる、自分の家への道順を忘れる、など日常生活を行えなくなる。
原因: 痴呆には、「アルツハイマー病」と「血管性痴呆症」の2種類がある。血管性痴呆症の場合、脳の血管が詰まったり破れたりして、脳細胞が少なくなり起こる。原因は、長期間における高血圧、糖尿病の放置など。アルツハイマー病の場合、脳血管に異常がないのに起こる。原因はわからないが、脳細胞に異常な蛋白が沈着して、脳細胞が次から次に死んでいく、そして脳がうまく働かなくなる
対処: 原因不明なので治療法もわかっていない、たくさんの人と交際したり、色々な趣味を持つなど、やりがいのある生活を送る
歩行障害・痴呆(正常圧水頭症)
症状: 痴呆症、歩行障害、尿失禁
原因: 脳に水が溜まるなら痴呆の症状、高齢者だとアルツハイマー病と判別が付きにくい。脳は約150ミリリットルの水の中に浮かんでいるが、毎日500ミリリットルの水が側脳室と呼ばれるところで作られ、脳の周りを洗い流している。この水が、なんらかの原因で途中でせき止められると脳に水が溜まる。脳腫瘍やくも膜下出血により発生。なんの原因もないのに水が溜まる「突発性正常圧水頭症」という病気もあり。
>> 特徴として、意欲の低下、動作の遅れ、一つのことを継続してできない、よちよち歩き、尿を我慢できなくなる。痴呆症の中でこの病気であることはまれ
小また歩行(パーキンソン病)
症状: 手足の震え、筋肉のこわばり、歩行障害、生活動作が緩慢になる。前屈みになり、小またでしか歩けない、良く前につんのめって転ぶ、日常生活の動作にも時間がかかる
原因: 原因不明の病気だが、脳の中の神経伝達物質の一つである「ドーパミン」という物質が、パーキンソン病の患者さんでは早く減少することがわかっている
対処: ドーパミン補充療法、手術などの方法がある
たばこによる結核が転移(転移性脳腫瘍)
症状: 全身の倦怠感、体重減少、よく咳き込む、しゃべりにくい、変なことを言う
原因: 結核が転移して脳腫瘍に。成人の脳腫瘍の約15%が転移性脳腫瘍。
対処: 治療法は、手術かガンマナイフ、化学療法
例:ヘビースモーカー、ここ2~3ヶ月、全身の倦怠感、体重減少、よく咳き込む
内科への受診、胸部レントゲン検査で肺結核の疑い、しゃべりにくくなり、変なことも言うようになったので脳神経外科も受診。CTの結果、左の前頭葉に脳腫瘍、肺のカゲも癌である可能性。放置すると、しゃべれなくなり、手足もマヒ。
症状のない小さな腫瘍(無症候性脳腫瘍)
症状: 症状がない。脳腫瘍には良性と悪性があり、悪性の場合は症状が無くても命に関わる
対処: できるだけ早い手術が必要、手術をしても再発する可能性は高い。良性の場合は、発育がゆったりしており少しくらい放置しても命取りにはならない。「髄膜腫」「下垂体膜腫」「聴神経腫瘍」など。髄膜腫はけいれん、下垂体膜腫は目の異常、聴神経腫瘍は耳が聞こえなくなる症状があるが、小さい腫瘍だと全く症状が出ない。良性でも、大きい腫瘍、脳の大切な場所と距離が近いものは手術するべき
頭痛の見分け方
・突然、激しく痛み嘔吐を伴う「ハンマーで殴られたような」頭痛だと、くも膜下出血の疑い
・突然の頭痛と同時に手足がしびれたりマヒする、「高血圧性脳出血」の疑い
・突然の頭痛と同時にめまいが起こる、「小脳出血」の疑い
・朝起きた時の頭痛、脳腫瘍の疑い、脳の圧が上がり痛みが発生すると考えられる、日を追うごとに痛みが増すが、目が覚めてから活動すると痛みが治まるため見逃されがち
以上は、命に関わる頭痛のケース。「突然」か「朝起きた時」の頭痛はすぐに診察を受ける必要あり。
[参考書籍]
『ど忘れ、あなたの脳のキケン信号』築山節、ネスコ
『これならわかる 脳の病気の危険信号』板倉徹、楠秀司、ブレーン出版