2007年5月20日
2009年2月18日 修正
このところ、掲示板で質問を受ける機会が少なくありませんでした。その多くは、「幻聴が聞こえてきたがどうしたらいいか?」という主旨の質問なのですが、記事を読まずに質問をされる人が少なくない様で、その事について思案したところ、今の記事の構成に分かり難い面があることに気付きました。それで、今回は分かり易さに重点を置き、“幻聴が聞こえ始めた人が必要とする情報、心身における状態の改善のために必要なプロセス”について、ふれさせていただきます。
○1.幻聴が聞こえはじめたが、どうしたらよいか?
はじめに、幻聴が聞こえる事により、日常生活に問題が生じているか否かが問題となります。幻聴は聞こえていても、精神的な負担とはならず、日常生活に支障が生じない場合があります。その様な場合は、治療の必要はないのだそうです(○4.以降のプロセスを参考に)。一方、幻聴が精神的な苦痛の原因になっている、あるいは、幻聴により自分の感情がコントロールできなくなっている様な場合は治療の必要があるといえます。
それでは、幻聴により日常生活に問題が生じている場合、どの様に対処する必要があるのでしょうか。私は、最初に、脳神経外科等でMRIあるいはCTの検査を受ける事が適切であると考えています。なぜならば、検査を受ける事により、その原因が“器質性”の脳の病気であるか、そうでない“心因性”の病気であるかを明らかにすることができるからです。
脳に異常がある → 脳腫瘍、痴呆、統合失調症などの可能性あり → 医療機関における治療が必要
脳に異常がない → ストレスなどを原因とする心因性の病気の可能性あり
検査の結果、脳に異常があることが判明したならば、医療機関での治療が必要であるという事が云えます。重度の統合失調症であった場合、脳(海馬)の萎縮(脳と頭蓋骨の間に空間ができる等)の所見があるそうです。また、40才を過ぎてからの発症は痴呆である場合が多いとのことです。脳に異常がない場合は、ストレスなどを原因とする心因性の病気である可能性があります(○2.に進みます)。
○2.脳に異常がない場合
次に、脳に異常はないが幻聴が聞こえるケースに進みます。“何かに集中していないと頭の中で音楽が鳴っている様な症状”は音楽幻聴というのだそうですが、これの場合はCTかMRIの検査で異常がないのであれば、○3.以降のプロセスに進むのがよいでしょう。また、聞こえてくる声が幻聴だと自覚することができる場合、冷静に内容を分析できる場合は“幻覚症”という症状なのであり、統合失調症である疑いは低くなるそうです。この様な場合は、カウンセリングを行う機関(神経科、心療内科、メンタルクリニックなど)での受診が必要だといえます。そして、○3.以降のプロセスに進むのがよいでしょう。
統合失調症における幻聴は、自分に対する悪口・中傷・命令など、被害妄想の色彩が強くあるのであり、多かれ少なかれ、被害的なニュアンスを伴います。具体的には、“以前から、知らない人に笑われたり、自分が噂されていると感じる。たまに、知らない土地に行った時も、その土地の人が自分のことを知っているはずはないと頭ではわかるが、やはり自分のことを見て何か言われている気がするし、自分のことを言っていると思うような声が聞こえる”様な状態です。この様な状態については、自分一人で自らの精神状態を確かめることは困難ですので、親類・家族・信頼できる友人等の助けを借りて、幻聴を幻聴と認識する事ができているか、幻聴に妄想が伴っていないか等の確認を行わなくてはならないでしょう。
音楽幻聴 → ○3.以降のプロセスにへ
幻覚症の幻聴 → カウンセリングを行う機関を受診する + ○3.以降のプロセスへ
統合失調症の幻聴 → 医療機関における治療を受ける(○3.以降のプロセスも参考に)
※内的、そして外的原因の区別について
例えば、少し離れた場所にいる二人組が自分の悪口を喋っている様に感じるケースがあります。このケースにおいては、本人は、その二人組に何か悪口を言われている様に“主観的”に感じ、はっきりした声を認識するわけです。しかし、心を落ち着かせてその事を“客観視する”と、その二人組と本人の間には声が届かないほどの距離があったり、聞こえてくる声がはっきりしすぎているなど、不自然な点が明らかになってくる場合があります。また、このケースにおいては、近くに人がいない時にも幻聴が聞こえるケースと、人がいない時には聞こえないケースに細分化されるのであり、前者であれば、これは幻聴である可能性が高くなります。しかし、後者の場合、現在は道端でおかしな振る舞いをする人間がいないとも限りませんので、自分自身に原因がある(内的な原因)のか、目の前にいる人間が原因である(外的な原因)のかを、心を落ち着けて判断する必要があります。そして、その際には、自らの精神状態について、平静な状態にあるか否かについても確かめた方がよいでしょう。
後でふれますが、私は基本的に霊的な事柄を信じており、人間の周囲には霊が存在していると考えています。仮に、声が聞こえてきたとして、原因が外的なものであれば、例えば、よくない霊に操られている様な人が、道すがら奇声を発する様な事が仮にあったとしても、自らの精神状態が良好であり、平静であるならば、少しも気にする必要はありません。無視して関わらないようにすればよいのです。しかし、原因が内的なものである場合、それは、自身が幻聴症状に悩まされているのです。つまり、自分自身が低級な霊に苦しめられているという事ですので、内的な原因こそ問題にするべきなのだと思います。それは、なんらかの原因により、自身の心身の調和が乱れているからその様になるのであり、状態を改善させる為のアプローチが必要であるという事がいえます。
○3.自分の幻聴体験と類似した症例があれば知りたい
次の二冊の本をお薦めします。類似した症例を知る事は、自らのおかれた状態を理解する際の助けとなり、理解する事が、問題の解決につながっていくのではないでしょうか。
●H・M・クレックレー、C・H・セグペン[著]『私という他人 ~多重人格の精神病理~』(講談社)
この本の内容は、医師である著者が、イブ・ホワイトという女性患者の、多重人格症状の発症から回復に向かう過程を描写したものであり、幻聴症状についても詳しくふれられています。
●C.Aウィックランド[著]『精神科医ウィックランド博士の迷える霊との対話―精神病を除霊で治した医師の30年』(ハート出版)
この本の内容は、著者である精神科医が、病気に苦しんでいる人に憑いている憑依霊を自分の妻に乗り移らせ、対話による説得を行い、その結果として患者の病気を治していった、という治療の記録です。様々な症状を抱えている患者を治療していきますが、その多くのケースにおいて幻聴に苦しめられています。
○4.ストレスを上手に処理・解消する
ここからは、自然治癒力を高める為のプロセスに移ります。現代においては、受け取る情報量が過多である事などが原因となり、現代人のストレス負荷が過大の傾向を有している事が明らかになっています。このストレスを溜め込む事が心因性の病気につながっていきますので、私たちは、このストレスを上手に処理していかなくてはなりません。
例えば、身体面においては、適度な運動・健康体操等を定期的に行なう。精神面においては、禅宗(曹洞宗、臨済宗)で行っている坐禅会に参加する、つまり、坐禅を行なう等の解決策が考えられます。また、カラオケ店に行って、歌を思い切り歌うのもストレスの発散になるでしょう。どの様に、ストレスを発散・処理していくかについては、自分に適した方法を見付けることが肝要である様に思います。
●私の場合
身体面において → 私の場合は、身体面においては、以前、池見酉次郎[著]『自彊術入門―1日15分、31の動作で心と体が強くなる』という本を読む機会があり、自彊術という健康体操法を実践しています。この自彊術は、全部で31の動作から構成されているのですが、約30分間で全ての動作を終えることができ、体操をした翌日は便通もよく、体調についての好ましい影響(とりわけ、肩と首のこり、ストレスへの効果)を実感することができます。短い時間で実践する事ができ、お薦めです。私は、週に二回位のペースで行っています。
精神面において → 精神面においては、辻双明という、禅宗のお坊さんが執筆された『呼吸のくふう―日常生活の中の禅』という本を読む機会があり、週に二回位、寝る前に坐禅を行っています。これも好ましい影響を感じているのですが、実際に、ストレスに対して効果があるのだそうです。なお、初めて座禅をする様な場合は、お寺さんで行っている坐禅会に参加する事が望ましい様です。時間が許すならば、ヨーガや気功も、心身に対して好ましい影響があるという話を聞きます。
私の場合は、自彊術と坐禅を続けているのですが、どちらも長い時間を割く事なく実践する事ができ、少しのやる気があれば継続することができます。ところで、身体と精神の状態はお互いに影響しあっているのであり、その事を、心身相関というのだそうです。だから、どちらかに偏りすぎることなく、心身両面から健康を考えて行く事が望ましいのではないでしょうか。
※インナーチャイルドのワークについて
インナーチャイルドとは、両親から精神的に自立する前に、不健全な家庭環境により傷付けられた子どもの心なのだそうです。そして、その様な傷付いたインナーチャイルドを抱え続けた大人は、そのわだかまりが、ネガティブな影響を本人に与え続けるのであり、その生活を汚染することがわかっています。ジョン・ブラッドショー[著]『インナーチャイルド ~本当のあなたを取り戻す方法~』(NHK出版)においては、オリジナルペイン・ワークという、抑圧されている過去の辛い記憶を再体験する治療方法が紹介されています。再体験することにより、感情のわだかまりが解きほぐされ、自然に癒されていくのだそうです。私は何度も実践しましたが、好ましい影響を受けた様に感じています。
○5.生活スタイルを改善させる
生活スタイルの改善について、私は、アンドルー・ワイル博士の『癒す心、治す力』を読み、多くの事を学びました。その事については、前記のストレスへの対処も含むのですが、それ以外に私が実施している事は、主に下記の事柄です。
・読書の習慣 → 読書は、精神に対して好ましい影響を及ぼします
・音楽の習慣 → 好ましい影響を感じ、クラシックを聴く様になりました
・食生活の改善 → 外食中心から自炊中心へ、獣肉中心から魚肉と野菜中心の食生活へと移行しました
・生ジュースの習慣 → ニンジンとリンゴで作る生ジュースを毎朝の食事にしています
・睡眠の改善 → コーヒー飲み過ぎは不眠を招く為、コーヒーを減らして緑茶を増やしました
・水質の改善 → 水道水の品質が心配でしたので、蛇口に浄水器を付けました
・電磁波の排除 → 携帯電話を使用する際はイヤホンマイクを使用する様にしました(現在はPHSを使用)
・興味の移行 → 流行に振り回される様なことはやめ、自分自身の趣味に関心を向けるようになりました
※生ジュースの効用について
生ジュースの効用については、欧米で古くから認知されており、あらゆる病気の治療にもとり入れられています。実際に、欧米の自然療法病院においては、ニンジン2本、リンゴ1個で作る生ジュースを万病治療のメイン・セラピーにしているほどなのであり、現代医学で手に負えない疾患に対して、治癒効果が数多く報告されているのだそうです。
私の場合は、中古のジューサーを購入し、大きなニンジンを安く売っている八百屋も見つけまして、ジューサーにかけた際に出るカスが勿体ないので、ジュースに使う分のリンゴは濃縮還元の既製品を購入し、リンゴは他の果物と一緒にそのまま食べています。それで、毎朝の食事は次の様な構成です。
ニンジン(約400cc)とリンゴ(濃縮還元の100%ジュースを購入して約100cc使用)のジュース約500cc + リンゴ・柑橘類・バナナのうち2つを半個位ずつ
○6.霊的な側面からのアプローチについて
幻聴は、どのような仕組みで聞こえるのでしょうか。私は、何らかの原因により、本人が霊的な世界とつながってしまった為であると考えています。つまり、幻聴を霊の声だと解釈しているわけです。そして、幻聴が聞こえる原因については、心身のバランスが崩れる、夢うつつの意識状態にある、脳に障害が生じる、等である事が明らかになっています。
ところで、自然の法則、これは仏教における因果の道理ですが、その法則について理解が進むに従って解ってくる事は、私たちは、肉体を持っていない霊の影響を受けながら日常生活を送っているという事です。この霊の中には、生きた人間に憑依するチャンスを伺ってている未成仏霊もおりまして、例えば、私たちが心身のバランスを崩した際には、この様な霊が、好機到来とばかりに憑依して来るわけです。そうすると、心身の状態は更に悪化し、幻聴症状にもつながって来る事になります。ところが、現代において、私たちの多くは、その様なことに少しも気付かずに生活を送っています。
それは、どうしてなのでしょうか。私たちが当然のように受け入れている現代的な価値観は、実は、唯物論的・利己主義的な傾向へと偏っているのであり、その様な現状が、見え難いところで様々な弊害を引き起こしているからです。とりわけ日本は、国際社会の中でも“唯物論的価値観に固執する傾向を有する国”の上位に位置することが明らかになっています。それでは、実際には、どの様な弊害が生じているのでしょう。
■精神性が低下した
戦前における市井の人々は、必ず神仏を祀っており、その存在を信じていました。そして、間違った行為は神仏に対して許されぬ、という心の律を持っていたのでした。人間はまっとうに働いて生きるべきもので、盗みや詐欺・収賄・投機などの手段で成功するのは間違っていると信じていたのです。それが、高度経済成長期の大量消費型社会が“人間の幸福とは何か”という問題を棚上げにしたまま発展し、古い物を大事にする意識を失わせ、物は使い捨ての意識を浸透させました。その結果として、現在、日本人の精神性は低下しています。物質的には豊かになりましたが、その代償として、心がないがしろにされた状態が現在まで続いているのです。
■先祖との絆が薄れた
現代においては、核家族化の進展、唯物論的価値観の浸透などの影響を受け、祖先との絆が薄れています。また、その様な影響を受け、それまで続いてきた先祖との縁を切り、教義に偏りのある新興宗教団体に入信する者が増加した事が、先祖霊を怒らせています。総じて、多くの現代人が、成仏できずに苦しんでいる先祖霊の存在に気付きもせず、放置しているという現状があるのです。原因は結果を生むのであり、縁のある人間が不安定な精神状態になることにより、その代償の支払いをさせられる傾向があるのですが、それは、一面において、苦しみの中におかれている霊は、霊的感受性の強い人間のところに引き寄せられる傾向があるからなのだそうです。
それでは、私たちは、このような問題を、どのように解決していけばよいのでしょうか。
●自然の法則をよく理解し、それに従った生活態度に改める
状態の改善を望むならば、これまでの利己的な考え方や行動を反省し、それを、自然の法則と調和したものに改めていく必要があります。そもそも、生きた人間と霊との関係においては、自分の精神程度に相応しい霊と感応するという仕組みがあるのであり、自らの心境を高めることにより、それに相応しいだけ高いレベルの霊の感応が得られるという事がわかっています。それは、一般的には認められていないことかもしれませんが、私は、実体験からもその様に信じています。それで、心境を高めるためには、自然の法則(それは、因果の道理や霊的法則と表現する事もできます)についての知識を獲得し、その内容をよく理解し、日常生活について、その内容と調和したものに改めていく必要があります。そして、その様な見地から考えますと、霊界通信として永年親しまれている『シルバーバーチの霊訓』のシリーズが、はじめて読む本としては最適である様に感じられますので、お薦めさせていただきます。なお、ただ読むだけではなく、内容をよく理解していくことが大切です。
●先祖を供養する
先祖を供養するプロセスについては、はじめに、自分の両親の家系について、わかる限りの事を調べます。父母双方の、亡くなったご先祖様の名前、生没年月日、故人が亡くなった当時の状況(心情や信仰)など、既に別れた先妻の家系なども含めて。 → 供養する日時を決め、一人づつ供養していく。例えば、ある月には誰々という一人の縁のある故人。翌月末にはまた別の故人、という様に一回の供養で一人の故人を供養する。誰々家代々御先祖様、という風にひとまとめにしての供養はしない。 → 当日は、死者にお供えする食物を用意し、(縁者が集まり)供養する。 → 供養とは、死者へ思いやりの気持を伝えること。形式は重要ではなく、人間同士の言葉でよいので故人に優しく語りかけていく。今までに故人をほったらかしに来たのであれば、心からのお詫びの言葉を伝え、故人が後悔していること、思い残していることが判っていれば、自分が代わりに解決してあげる。 → 語りかけにより、故人の死への自覚をうながす。当時いかなることがあり、いつ、どこで亡くなられたのですよ、という語りかけ。 → 定期的に同様の供養を行う。(萩原玄明[著]『精神病は病気ではない』(ハート出版)より)
それでは、今回は以上の内容になります。